「ゼフィルス」
『作品内容』
ぼくは昆虫採集に狂っていた。
今日こそはウラジロを採ろうとまた山に出掛けていった。
ウラジロは別名「ゼフィルス」と言い、これ
は西洋の妖精の名からとったものだ。
そんなぼくだから人の畑に入っていく事もしばしばだった。
あるお百姓さん(ヒゲオヤジ)のかみさんからいもドロボウの濡れ衣を着
せられてしまった。
何としても真犯人を掴まえようとぼくは夜通し畑に粘った。
来た来た、ぼくくらいの少年だ。
彼はもちろん逃げるからぼくは追いかけた。
彼は病気の姉さんと二人暮らしで、引っ越したばかりだから配給も受けていなかったん
だ。
ぼくは彼らのために家庭菜園から芋を持っていってあげた。
相も変わらずゼフィルスを追っていると、特高の男にあった。
彼は脱走兵を探しているという。
そんな男はぼくは知らない。
でも、あ
の少年なら何か知っているかもしれない。
しまった!!。
病気の姉さんが脱走兵で、彼は実は女でその恋人だったのだ。
気付いた時は特高の奴は小屋に走っていった。
二人は捕まってど
こかへ連れて行かれてしまった。
B29は僕の村にも爆弾と焼夷弾を雨のように降らせ、ゼフィルスの住むあの森も焼けてしまった。
もう彼女たちとの鬼ごっこもでき
ないのだ。
<参考文献:講談社全集>
『図版使用書籍』
手塚治虫大全(1997年)
手塚治虫博物館:小林準治著(1998年)
手塚治虫全史(1998年)
東京人 2008年12月号(2008年)